はじめに、見積書が「無料」である。というのは、本来はモノ売りの概念です。
ネジを、100個の見積書をつくるのと、HPをつくる見積書では、見積書を作成する労力が異なります。

その流れが、システム開発やHP制作などにも影響を与えたのは、国の入札制度が、大きな要因です。
日本は、ハード、コンテンツは強いが、ソフト面が弱い。
これは、産業文化の問題もありますが、それ以上に、法律や様々なルールが、「コト売り」に対応しきれていないことも、大きな要因です。

あとは、下請け構造の弊害でもあると思います。

昔は、コンペ費用や提案費用というものが、存在しました。昔といっても10年ほど前の話です。
よく考えれば解る事です。
提案をするための調査や検討は、誰が考えるものでしょうか?
また、提案をするためには、RFPが必要です。
しかし、「RFP」という言葉を知らない人が多いです。
 
RFP=提案依頼書
 
例えば、

HP制作であれば、
 ・メインカラーは?
 ・流入経路は?
 ・どのような画面サイズに対応する?

システム開発であれば、
 ・誰が使う?いつ?どのような目的で使う?
 ・何人位が、どの程度の頻度で使う?
 ・どのような事を、実現したい?

 
最低でも、10ページ以上は、必要です。
これをつくれないのであれば、本来は、有料でRFPの作成を代行してもらう。ものです。
ヒアリングシートを作成し、それに回答してもらうことで、RFPの一部を代替することは可能ですが、全てを決めることはできません。

また、法律面においても、HP制作やシステム開発のほとんどが、委託契約です。
委託契約の場合、委託するもののルールを提示するのは、発注側です。
仮に、委託するものの定義がなければ、納品物に対する検査もできませんので、発注側のリスクにもなります。
これらが、なし崩しになっているのは、よくない習慣ですし、日本のIT業界をダメにしている一因でもあります。
 

例えば、提案書と見積書をつくるのに、コストが発生すると思えば、発注する側も受注する側も、真剣になります。
 
ただ、これは1社、1個人がどうこう話しても、解決しません。
IT業界全体が、IT業界のために、どうするか?を、真剣に考えないと、いつの日か、見積もり書さえ、つくってくれる企業がいなくなる日がくるかもしれません。
それだけ、IT業界は疲弊している。というのが、現状であり、

その一旦が、
この「見積書作成が無料である」

という、幻想からきていると思います。